第219話
「池駒、
と、まゆゆのいる方向を見るよう促す。そこには、さっきまでボンレスハムだのなんだの言っていた時とは程遠い、暗い顔をしたまゆゆがいた。
私を彼女役に立てる池駒も池駒だけど、私に嫉妬するまゆゆもまゆゆだ。どう考えたってどっちの思考もあり得ない。
それからまゆゆは怒って、ガゼボとは反対の方へと行ってしまい、池駒が慌ててまゆゆを追いかける。
頼むわまじで。
「……疲れた。ガゼボでちょっと休も。」
「ほらみろ。だから二人で来れば良かったのに。」
「ナンパされてる私をすぐに助けにきてくれなかったあんたが言うことじゃない。」
「あれだけナンパ師と話し込んでおいて何言っちゃってんの。すぐに俺に助けを求めないお前が悪い。」
「は?なんで私から助けを求めなきゃなんないの?」
「池駒のことはすぐ助けに行く癖によく言う。」
まじで頭おかしいんじゃなかろうか?なんで私から助けて〜なんて言わなきゃなんないの?普通気付いたらすぐに助けてくれるのが彼氏でしょ。
「何が営業の参考にしたいだ?朋政先輩にみっちりOJT学んできなよ。」
「ああ困った時の“朋政先輩”ね。春風にとっては教祖様みたいなもんだもんね?」
「はあ?朋政教会こそ不当寄附勧誘防止法にひっかかるんじゃない?」
「それについては俺も同感だけど今のお前は気に食わない。」
暑いし面倒だから、そのまま六神を無視してガゼボに避難する。するとどこかに行くと思っていた六神が、私の後からガゼボに入ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます