第209話

「はい、」

「え、なに、」

「春風のお母さんから。」

「……へ…。」

「かかってきたから出といた。」

「は?」



六神から自分のスマホを受け取ると、なぜか幸せそうな母の声が聞こえてきた。



「もしもし?」


『あら春風ー。六神君と元サヤに戻ったそうね〜、よかったわねえほんと。なんて清々しい朝なのかしらー朝からちゅんっちゅんうるさいわね鳥。』


「ああ、うん。情報通だねママ。」


『昨日の夜もね、電話したら六神くんが出て。もう寝ちゃったから今日はうちに泊まらせますって。家に帰せず申し訳ありませんって。』


「は?…」


『ちゃんとしてるわよね六神くんて。ママ安心だわ〜。長男?長男だとちょっとめんどくさいわよね〜、六神くんは次男がいいわ次男!次男でありますよーに!!』




六神んち来る前に、ママには友達んち泊まるからってメッセージは入れといたけど。昨日、六神に何度かいかされて。一旦シャワー浴びて。またいかされて…。シャワー浴びてる時に電話してたの?



六神を見れば、私の隣に座りソルティバターを食べていた。それ食べ出したら止まらなくなるやつ。私も一個欲しいじゃん。



私の欲求に気付いたのか、六神が私の口に一つ、ソルティバターをいれてくれた。ああ血糖値が爆上がる。



『それより聞いた?今六神くん、ママのために貯金してくれてるって話!』


「…え、なに?貯金?」


『そうなのよ〜。ママのために二世帯住宅を建ててくれるらしいわよ?いい彼でほんとよかったわねー。ママ泣いちゃうわ。』


「…………に、にせたい?」


『じゃあ今日はあまり遅くならないように帰ってくるのよ。あ、それか六神くん呼んでうちで夕飯食べる?』



隣の六神が「いきまーす」と私の耳にあてるスマホに近付いて言って。ママが『きてねー!』と嬉しそうに返事を返した。

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