第208話

「ごめ……、泣くと、なえるよね…」  


「いんや、でらこーふんする」


「ですよね……」

 


そうだった。この男の性癖は普通じゃなかった。



それならせめて六神の頭が正常なうちにと、私は涙ながらに返した。



「わたしはもうとっくに、千都世のことがめちゃくちゃ好きだよ」 



両手を貝がらで繋がれて、またむちゃくちゃなキスをされた。

  


「……泣きながらそれ言うとか。ねえ、どうなるかわかってんの。」


 

六神がゆっくりと私に入ってきて、そこからはもう六神の思い通りにどうにかされてしまった。



明日が休みでよかったと思えるくらいに。





次の日、目を開けば、そこは紛れもなく六神の部屋で。



六神のベッドで、六神と身体を重ねた感触がちゃんと身体に残っていて。ちょっと頭ガンガンするけど。それが嬉しくて。ちょっと目眩がするけど。ぎゅっと布団を握りしめる。



今日が休みだという事実も、六神がキッチンに立っている現実も。ベッドの上で転がりながら噛み締めれば、また涙があふれそうになった。




「……はい、はい。いえ、こちらこそ、」 


 

六神がキッチンで誰かとスマホで通話していて、口調から仕事関係かなと思い眺めていた。私は上半身裸なのに、六神はやっぱりすでにルームウェアを着ている。



「あ、ああ、ちょうど今起きたとこでして。今替わりますので、」



私に気付いた六神が、スマホを耳にあてたまま近付いてくる。



…あれ?……よく見れば、私のスマホ……

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