第194話

「その大事な居場所で、女子生徒に手を出していたのはどこのどいつですか。」


「……え?なに?」


「なにじゃねーよ。」



俺の憤りを察してもらうため、口調を変えてはみたものの、佐渡は唖然とした表情で俺を見ている。



「白昼堂々と女子生徒を研究室に呼んで行為に及んでた変態はどこのどいつだよって言ってんだよ。」



具体的な言葉に、さすがの佐渡も唇を震わせ始めた。



「な、なにを言っているんだ……きみは……」 


「なんなら今ここであんたにポイ捨てされた女子生徒の名前を並べてやってもいいんですけどね?」


「いや、僕が?はは、まさか、そんなことは……」


「理事会に投書が行かないよう上手く金で釣ったのかもしれませんが、俺が一言訴えれば次々と女子生徒が名乗り出る可能性だってありますけどどうします?」 


「…っはは。だってあれは、そもそも合意の上だし……」


「結婚してるのに合意の上って。奥さんも合意されたんですか?」


「な、なぜ僕が結婚してることを知って……」


「局長が佐渡くんの奥さん若いから羨ましいって言ってましたよ。って、結婚してること隠してたんですか先生?」



手足の震えも伴い、何も言えず、ただ頭を抱えるだけの佐渡。



俺はもう話すことはないと、応接室を出て行った。







それから俺は、無事央海倉庫に転職することができ、農政局での繋がりも影響したのか、春風のいる横浜支部に配属された。



しかも同じ一課の所属で馬鹿みたいに運命を感じ、いずれ告白することを誓った。

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