第165話
『あ、こんにちは!最近六神と別れた彼女さんですよね?』
『あ、どーもー、最近六神にすぱーんと切られたという噂は本当ですか?』
ライバルに対し、マスコミ関係者のような話しかけ方しか思い浮かばない。
いつものコミュ力の暴力で立ち向かっていけたらどんなにいいだろう。六神のこととなると、どうしてこう、私って…だめだめな彼女でしかいられなくなるのだろう。
でも警備員のいる箱を通り、ゆっくり会社の入口の方へと歩いていく途中で、貞子がこちらに気が付いた。
目と目が合った気がして、なんとなく会釈をしてみる。そのまま入り口へと歩いて行けば、貞子が私に向かって微笑んだ気がした。
「大当たりぃ!待った甲斐あったー。」
そう間延びしたような声をだして首を回す彼女。今のは私に向けて言った言葉なのか、後ろを振り返ってみても他には誰もいない。
火花を散らされるのも承知で、彼女に話しかけてみた。
「あ、あの。こんにちは。六神の、彼女さん、ですよね。」
まだ彼女かどうかは分からないけれど、こうして予防線を張らないと話しかけづらかった。
「う~ん。彼女、というよりは。セフレ?」
「え…」
「ちと君から聞いてない?黒髪のセフレって。」
適当に付き合っているといっていたことは、本当だったのか。
なぜだろう。公式の彼女の方がまだマシなんじゃないかと思えてしまうこの気持ちは。六神がそんなセフレを作るような男だとは思いたくない。
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