第162話

そう、私もまゆゆも、もうどちらと一緒にいたいか答えが出てるのだから、けじめをつけなければ二兎追う者は一兎も得ずになりかねない。




 

六神とホテルに泊まった次の日、スマホには朋政先輩からの着信が二件とメッセージが一件入っていた。


 

『大雨警報出てるけど無事帰れた?シンプルに心配だから、気付いたらメッセージ返してね( ◠‿◠ )』



有無を言わさぬ圧しか感じない顔文字に、メッセージは返しておいたけれど。報告書を提出し終わった日の夜から、ほぼ毎日のように着信がある。



コアラの生態や、今度一緒にUGG行こうねといった他愛もない会話。そして、その通話の合間にやってくる六神からのメッセージ。



『今電話してもい?』



タイミングがどうにも合わない現実に、私は朋政先輩にキッパリさよならしなきゃいけないのだろう。







「なんで昨日電話してくんなかったの。」



翌日の朝、港の見えるフリースペースにて、六神にこんなことをいわれる始末。



「メッセージ入れたじゃん。眠いからまた明日話そうって。そして今に至るわけじゃん。」


「ならせめて朝起きて3秒で電話ちょうだい」


「“せめて”の使い方学んで」


「どーせどこかの腹黒上司と連絡取り合ってたんじゃないの?」


「……〜♪…(口笛)」


「俺の方に来るならさっさと縁切れば?」


「あんただって、貞子さんとさっさと縁切れば?」



私たちは一体なんなの?なんなんだ?いつまで経っても形容されないこの関係は、せめて悪友以上セフレ以上のものであってほしいと切に願う。

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