第151話

さっきまで雨に濡れていたはずなのに、熱のせいか六神の素肌は水滴一つついていない。



やばくて、まずくて、あやうい三重苦のシチュエーション。



六神の素肌が私を包んで、私ごと乾かされていく。六神式乾燥機は稼働力が伊達じゃない。って、余計に風邪を悪化させてしまうんだってば。




「あ、ちょ、わ、わたし、ぬれてるからっ」 



無理に離れようとすれば、六神はなんの悪気もないような清らかな瞳で、



「どこが?」



と聞いてくるから六神対応の実来式貞操観念を高く保つためにも、素肌を押しやった。



「ばか、シャツが、に決まってんじゃん!」


「脱げば?」


「脱いでくるから、手、離して」


「このだだっ子」


「だだっ子はあんたでしょ?!」

 

「いかないで。」


「あ、あんたの心の知能指数爆下がりなんじゃない?!」


「春風の思いやり指数が足りないー」


「ばっか、」


「俺に脱がされてよはるかちゃん」



再び六神の腕力によりベッドに連れ戻されて。脚で下半身を挟まれて蟹挟みを繰り出される。なんでいつもプロレス技なんだろう。



「な、…ダメだって!」


「ダメくない。春風の胸に埋もれたい」


「おい。貧相な身体なんじゃなかったの?!」 


「でも胸はそこそこ優秀」


「…………」



“胸は”ってなんだ。“そこそこ”ってなんだ。



疲労が限界なのもあって、いちいち拒むのが疲れる。抵抗できなくなった私に、六神は大変満足そうな笑みを浮かべ、私の濡れたブラウスのボタンを脱がし始めた。

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