第147話
腕時計を見ればもう14時過ぎだ。貼替え作業の人数を揃えられるかもわからないし、今から取りかかったとしても確実に18時は回る。私も速足で六神の背中を追いかけた。
山城課長への報告が終わって倉庫に戻れば、まゆゆと池駒、他4名が水滴を拭き終わっているところだった。
「ありがとう、みんな~(泣)」
「大丈夫、今度生ビールと生ドーナツを1セットずつ奢ってもらうから!」
「なにその高カロリーセット」
「俺は筋トレ中だからサラダチキン5個でいいわ」
「それカロリー同等だから」
「私は推しのアルバムでいいから。」
「一番高額じゃん」
営業回りで忙しいはずの六神まで本当に手伝いにきて。合計8名の作業になり、18時を回るどころか20時を回る羽目に。
一年の賞味期限が貼ってあるシールの上から、修正された半年の賞味期限のシールを貼っていく作業が難航した。重ねて、ずれないように貼る作業は、慣れない私たちにとって想像以上に体力と神経を削るものとなった。
「まゆゆには早めに帰ってもらって正解だったね」と、なんとなく池駒を見て伝えれば。池駒は少し気恥ずかしそうに、「だな。」と返してくれた。
結局すべての作業が終わったのは21時で、私は疲れのあまり泣く気力もなく、ただ皆に頭を下げるばかりだった。ミスによる仕事は達成感よりも脱力感の方がずっと大きい。
倉庫から外に出れば、ぐずついた天候が悪化し雨が降っている。
「俺は今日まだ現場の見回りあるから。六神、ちゃんと実来ちゃんと一緒に帰ってやるんだぞ!」
池駒に言われて、もう遅いからと、六神と駅まで一緒に行くことになった。
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