第146話

「あの、六神がせっかく狩ってきてくれた案件で、ミスしてごめんね……。それと、ありがとう、ございます…。。」



言ってから急に恥ずかしくなってきて。足元からじわりじわりと熱が這い上がってくる。よく考えたら久々に本体と本体が対面したのだ。最近は電波メッセージ電波メッセージのやり取りばかりだった。



今にも太陽の香りが漂ってきそうな身体が間近にあって、気を抜けばその体温に焦がされそうになるから困ったもんだ。



でもこのまま下を向いているのもよくないと思い、少しだけ目線を六神の顔の位置まで上げてみる。



じっと見つめること、1、2、2.5秒



すると六神が顔を少し赤らめ、ふいに横を向いて。こんなことを言うのだ。



「お前のよわってるとこ、まじ勘弁……」

 

「……え。」

 


らしくないとか。そういうことを言われるのかと思ったのに。



「でらかわいくて、IQ下がる……」 


「……は…で、でら?」



なんでいきなり、名古屋弁?


一体、なにが?どうしたというの、ゆがみくん。



IQが下がったらしい六神が、速歩きでオフィスの方へと向かう。



それ以前に、え?かわいいって言った?

かわいいって?六神が?

ねえ六神が??私を?!



「……え、ちょ。アンコール、」


「…一旦事務所戻ってからシールの貼替作業手伝いに行くからよろしく」



よろしくって。どう考えても“よろしく”するのは私の方なのに。なんで、そんな優しいことを言うの。怒ってくれるんじゃなかったの?



私も一旦戻って、山城課長に報告しないといけない。アンコールを求めている場合じゃないがね。

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