第141話

「実来はどこまでも頼ろうとしない人間だから、頼りやすいよう僕から手段を提供しているんだよ。」


「そういえば課長。うちのお局がまた今度課長と二人きりで飲みに行きたいって言ってましたよ?またタワーホテルのバーがいいって。」


「ああ、三課の早瀬さん?彼女かわいそうに。妄想癖と虚言壁があるんだよ。それって別の課長の間違いじゃない?」


「早瀬さんは、また青司あおしクンと飲みたいってはっきり言ってましたけどね。」


「あおしくん?随分といい名前だね。きっと男前に違いない。」



朋政青司は笑いながら言った。



因みに、先輩と六神が今までに同じ部署で働いたことはない。



たまたま先輩が一課から三課へ異動するタイミングで六神が一課に入社し、そして六神が三課へ異動するタイミングで先輩が本部へ異動となった。六神は後任のように先輩の後を追っている形になっている。



仕事の引継ぎで、たまに連絡を取ることはあったと聞いているけど、こんなに仲がいいとは初耳だ。



「六神君こそこないだの研修会で本部来た時、女性社員に連絡先聞かれてたよね?何人に教えたの?」


「自分にとって有益そうな本部長のみですね。」


「あの人、人の顔と名前を覚えられないから六神君のことはきっとすでに忘れてるよ?」


「課長、今しれっと本部長ディスりましたよね」

 


なんでこの人たちこんなに元気なんだろう。その元気の方向性を落ち込む私に向けて欲しい。私を慰めるという頭はないのかこいつら。

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