第131話
あれからまゆゆは自分の恋愛話に関して、おとなしい日々を過ごしていた。
そんなある日のお昼休み、例のごとく、静かな8階のラウンジへ行こうと誘われた。
「
「え?普通に仲直りしたよ。」
「そうなんだ。よかったね。」
ひとけのない場所へのお誘いだったから、てっきり一希さんと何かあったのかと思っていた。
別れたとか、他に女が存在してたとか、実は既婚者だったとか。友の不幸を平気で予想しにいく私は決して性格が悪いのではなく、想像力があり余っているだけなのだ。
「でも、ね。なんか、最近さ、」
まゆゆが10円パンを半分に割り、中のチーズをたるませながらため息を吐く。
「しっくりこないっていうか。一希と一緒に居ても、我輩はどこか空虚を感じるがごとくね」
「まゆゆは現代になじめない地底人かなにかなの?」
「地底人。そう、地底人と一緒に過ごしている感じなんだよね~」
“地底人”って自分で言っておきながら、とりあえずスマホで“地底人”を調べてみた。すると“人間以外の生き物”という結果が出てきて、人間以外の生き物でもゴルフ行くのか。とどうでもいいことを思った。
「それってつまり、マンネリ化現象?」
「もう付き合って3年目だもんなー。マンネリっていうのかなこれ。」
なかなか10円パンを食べようとしないまゆゆを見て、私は「そろそろ話の総まとめに入ってくれ」と咳払いで匂わせた。
「いやあ。つまり、さ。あれだよあれ。」
「あれ?」
「池駒の件があって以来なんだよ。」
え?!もしや??まゆゆが?あの池駒を好きになったと?
そういう話?!
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