第130話
でたらめ言ってるのはどう考えても私か。言ってることとやってることが総じて矛盾している。
その日の午後、六神から外線で、前に言っていた
なんの感情のぶれも感じない電話で。外線なら社内じゃないからすぐに何か言ってくると思っていたのに、電話を持つ手が震えるのは私の方ばかりなのか。
でも電話の切り際に『次ガールズバーやる時はミニスカ履いてきてね』と全く検討違いのことを言ってきて、それはそれでむかついた。
それから六神とは、本部での研修や出張が重なり、朝会わない日が続いた。
『しばらく忙しいんだわ。寂しい思いさせてごめんね俺のことめっちゃ嫌いな実来チャン(ᗒᗩᗕ)』
などとふざけたメッセージを送ってきたので、私も負けじと
『うん、実来めっちゃ寂しいᐠ( ᐛ )ᐟ』
というメッセージと、なにかがマッチしない絵文字を送ってみたりした。
なんの心境の変化か、割りとマメに六神が私にメッセージを入れてくるようになって、不覚にもときめいてしまう自分がいた。ただどうでもいいメッセージばかりなのは改善策を求めたい。
数日後、私は六神との奇妙キテレツな関係性にうつつを抜かしながらも、その「冷凍柚子皮」を輸出するための申請処理をしていた。
絶対に社内恋愛などこの世には存在しないと思っていた私が、こんなにも活性化させてしまっている事実に。目を背けることなど、どうできようというのか。
ああ仕事がはかどらない。
仕事にプライベートを持ち込むどころか、十字架を背負って仕事しているようなものだ。
六神のことに朋政先輩のことに。ついでにまゆゆの問題と山積みだ。
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