第126話
「で、なに?本題はなんだった?」
六神の脚を組みかえる仕草に見とれそうになるも。船の汽笛に意識を起こされて、気になる話題にふれてみた。
「六神って。今の彼女と結婚とか考えてんの。」
まだ前職を聞くよりも、こっちの方が聞きやすかった。
きっともう、どんな答えが返ってこようとも、海に飛び込みたいとはさすがに思わないはず。
怖いものみたさって。超がつくほどの好奇心なのか、自分を完膚なきまでに叩きのめすためにあるのか、どっちなのだろう。
「正直、そこまでは全く考えてないわ。」
「へ、へえ。そうなんだ。でも貞子さんは29歳なんでしょ?さすがに向こうは考えてると思うな。」
「ないね。俺のこと絶対そんな風にはみてない。」
「え?」
「アラサーの癖に、まだまだ遊びたい盛りって感じだし。まあその方がこっちも気楽だけど。」
六神が机に肘をつき、海の方角に顔を向けながら言って。ポケットからスマホを出し画面をいじりだした。
「それって、なんのために付き合ってるの?」
「え?」
「え?じゃなくて。貞子さんにだって思うところがあるから付き合ってるんでしょ?」
「思うところ?」
「私と同い年の友達にだってすでに結婚して子供がいる子だっているんだよ?30間近で、もし本当に遊びだけで付き合ってんならわざわざ付き合う必要なくない?」
私は友達が多い方だと思う。周りの友達を見ていると、漠然と結婚式への憧れだったのが、徐々に子供を持つ憧れに変わってくる年齢なのかなと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます