第110話
朋政先輩の存在に気付いたうちの
「朋政くん、わざわざここまで迎えに来たのか?実来くんとは直接農政局で待ち合わせるものだとばかり、」
「あ、
同じ課長同士なのに、うちの課長よりも先輩のほうが年下だからか不思議な感じがした。
私が証明書を取りに行くというのは、事前に先輩からうちの山城課長に話がつけてあったらしい。それなのに私は全く持って準備をしていない。
そっか、あれか!六神に朋政先輩との電話を邪魔された時の話か。
まゆゆが自分に用事がないと分かり、安心した表情になった。
因みにまゆゆにとって朋政先輩は厳しい鬼でしかない。新卒入社時、国内営業部希望だった私とまゆゆは、いくつか語学系の資格を持っている癖に、なにお前ら国内で済ませようとしているんだと、会社に対するエンゲージメントを無理くり高めさせられてきた。
私とまゆゆ以外の社員は、まばゆいオーラを纏う朋政先輩に釘付けだ。ああ、あとうちの山城課長も腹の中ではいい気はしていないだろう。
「ぼさっとするな。ほら行くよ。」
「は、はひ!」
とりあえず農政局からの証明書交付のお知らせメールを打ち出して、慌ててパソコンの電源を切った。机の引き出しから自分の名刺と貴重品を持って先輩の後を追いかける。
朋政先輩が廊下を歩くと、床にレッドカーペットが敷かれているかのように見えてしまう。
うちの美魔女といわれるお局にもエレベーターの前で話しかけられていて、先輩はなんとも柔和な笑顔で返している。その背中に、さっき私に睨みを利かせた先輩の顔をポスターにして貼ってやりたい。
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