第109話
……なにがどうして私と池駒が疑われることに??
午前中、何件かの書類に、出港した船名を手書きで記入している最中、ふとデスクトップのスクリーンセーバーに見とれてしまった。濃紺の夜空に星が散りばめられ、一定間隔で交代に光る星空。
六神と彼女と親しげな姿に。それから、六神からの褒め言葉に。どちらも180度違う感情なのに、どちらも泣きたくなった事実を思い出していた。
それよりもなぜ泣けなかったのか。
それを考え初めた午後のこと。
ぼーっと出港状況をパソコンで確認しているところに、廊下から女性社員の甲高い声が聞こえ始めて、ハッとし瞬きを繰り返す。
でも女性社員の声は、なぜか一課の事務所内にまで入ってきて。それとは真逆にまゆゆが何とも嫌そうな顔をするから、何事かと後ろを振り返った。
「実来何してんの!早く行くよ!」
「……は?」
「今日は午後から農政局に証明書直接取りに行くっていってあったじゃん!」
「…じゃん。って。え?せんぱ、課長が行くんじゃないんですか?」
「何いってんの。申請者本人がいった方がスムーズに事が運べるでしょ?ってそう言ってあったのに、聞いてなかったの?!」
ダークグリーンのジャケットを手に持ち、白い縦ストライプシャツのボタンを2つ開けて、風格あるスタイルが私を睨み下ろす。
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