第93話

「…おい。うそだろ。」 


「あ、起きた?」


「……てかそれ、あんたのスマホだよな?!」


「え、うん!わたしのスマホー。」



まさか……ここまでやる女だとは思わなかった。



トリセツに付随するアフター保証はまだ有効だろうか。いやこの女をメーカーに直接持ち込んで欠陥品として廃棄処分してもらいたい。




「でもこの画像は六神君のスマホに入ってたやつ〜。ンフフ」 


「……あんた、プライバシーの侵害にも程がある。」


「六神君のスマホから私のスマホに送ってみたの〜。って、やっぱりこの画像って相当ヤバいやつぅ?」


「…………」

  

「だよねぇー…。さすがにさ、これは…。ハハ」



水絵の乾いた笑いが耳につく。耳が拒絶するかのように耳鳴りがした。これは夢じゃないのだと思い知らされる。


 

「ストーカーよりも質悪いっていうか。。私でもどん引きだわー……」



水絵のスマホを取り上げて画像を消去してやろうかとも思ったが、自分でも痛いほど引く画像なのが分かっていたため、図星を突かれて無駄な抵抗をする気にはなれなかった。



「なかなかに狂ってるね、六神君て。」


 

狂っていることを自覚している女が、俺を見て顔を引きつらせている。まさに“理解出来ない”とでも言っているかのように。

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