第80話
「
……な、だ、誰だよ、その愉快なやつは。
「俺は少なからずお前を大事にしたいと思ったし、」
私も少なからずそう思ってたよ。
でもあんたがそれを思い上がりだとか言って否定したんじゃん。
「お前と俺の初セックスを覚えてないとか心外だし」
職場でセックスとかいう方が心外だわ!
8階からエレベーターに突き当たって、密室になるのを避けるため非常階段から降りようとした。
ここまで無視ればさすがにもう追って来ないだろうと踏んでいたのに。
それでも六神は、私の腕を掴み私に構おうとするのだ。
「なあって。」
非常階段から、7階へ行く途中の踊り場までなぜか私が腕を引かれて降ろされる。
その踊り場の壁に押しつけられて、無理矢理六神と顔を対面させられて。すぐに顔を反らした。
こんな不本意なオフィスラブで、当事者なんかにはなりたくなかった。
余裕の“よ”の字でいいから私にも欲しい。少しでも六神と対等になれる要素が欲しい。
ずっと悪友だなんて言い方をしてきたけれど、本当はどこかで私よりもずっと前を歩いてるんじゃないかと不安だった。
年上で可愛いド清純の彼女という存在がいてもいなくても、いつだって余裕な六神は、今日も私をしゃくしゃくと見下すのだ。
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