第76話

なんでこのタイミングで話しかけてくるかな六神ぃ!


 


「なあってば。」


「あ、先輩!あの、要因書の件なんですけど、」


「無視るなって」


「税関から、抱き合わせで営業証明も必要だって言われて、」


「みらいー寂しんですけど」



邪魔だじゃま邪魔邪魔!!



なんで、なんだってあんたって男は…!



その邪魔なしつこさを、別れる前にしてくれなかったのかなあ?!



とにかくあんたはちょっと黙っててくれと、六神の顔先に左手で待ったをかける。




『……あー営業証明ね〜。ふうんなるほどね〜』


「すいません、お願いします先輩、」


『要因書と一緒にメールすればいい?』


「はい!」


『ふーんふーんどうしよっかなーめんどくさー。』


「えっ?!」


『なんてゆーか実来って、引きが強いっていうか。面倒な仕事に好かれやすいよねえ』



急に雲行きが怪しくなったように、先輩の声色に低さが増す。



内線の時のように、私を馬鹿にしたい欲丸出しの先輩が顔を出し始めた。



なんで、急に。




「俺のこと顔もみたくないくらい嫌んなった?」



まじでさ!あんたはちょっと黙っててくんない?!



私の左手を軽くどかし、尚も耳元に唇を近付けてくる六神。いっそ鼻の穴に指突っ込んでやろうか。



 

「こ、今回の面倒な仕事は先輩が持ってきたんじゃないですか!」


『ちがうよ?僕が春風に引き寄せられたんだもん。』


「は、」



なんでこのタイミングで春風呼びかなあ、しぇんぱい。

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