第69話
朋政先輩からの内線を切ってメールボックスを開けば、メールはすでに見切り発射で5分前に到着していた。添付ファイルが2件と端的な本文が記されている。
『輸出証明書原本は農政局に直接取りに行くから窓口受取にしておいて。そのまま自社便ある配送業者に持ち込むから、とにかく許可おりたらすぐ僕に連絡ちょうだい。』
農政局から発行される原本は、直接海外の輸出先企業に送らなければならない。
今日を起算として、輸出証明の許可がおりるまでの日数を卓上カレンダーで辿っていく。おおよその日にちを予想したところで、朋政先輩に返信を入れようとキーボードに指をのせた。
突発的な忙しさが到来する中、前の席に座る輸入担当のまゆゆと目が合った。
「福間さん、広州と釜山着分のアライバルノーティスって届いてる?本部クライアントのやつ。」
「あ、メールきてる。」
「打ち出し求む。」
「了解。」
まゆゆの様子が、なんとなく可笑しい。
元気がない気がするのは私の思い違いだろうか。
いつもならまゆゆの“了解”は、“
そういえば今日は、いつもの固められたようなポニーテールに後れ毛が発生している。唇に常駐するリップモンスターも、本日はお休みのようだ。
もしかしてまゆゆ、私にとんでもなく悪いことをしたと思ってる?
六神に彼女がいることを知らずに二人きりにして、もれなく罪悪感と反省の色を人前に晒してしまうほどに?
いや、むしろ惜しげもなく披露して、ほら私超反省してますよアピールをしているとも言えなくはない。
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