第66話

『東京港からの輸出でシップバックが6件発生したんだ。3件は広州で3件は釜山行き。6つとも申請代行でいってる。再輸出を頼みたいんだけど。』

 

「あー…(やりたない)…まじですか。来週なら名古屋港からの本船でブッキングいけそうですけど。」


『馬鹿なの?横浜港にしてほしいから実来に頼んでるんだけど?それに来週じゃ間に合わない。今週にして。』


「20FTコンテナなら木曜出港でFCL1つ釜山行き空いてます。広州は早くても…土曜出港ですね。」


『馬鹿なの?それが分かってるから申請手続きを実来にお願いしてるんだけど。』


「なら最初からそう言って下さい。」 



私の周りには、私を馬鹿にすることしかできない人間しかいないのかと、ことごとく思い知らされる。 



『6件とも原産地証明必要だから。あと』


「放射線検査証明ですね。シッピングもこっちで作ります?」


『よろしく。今からPDFでインボイスとパッキングリスト送るから。』


「お願いします。あとシップバックの要因も」


『6件とも同じ会社の梅干なんだけど、向こうの税関検査で塩分濃度が2%高くて引っかかったんだよ。今先方に規格書訂正してもらってる。あー、要因書も先方に貰わないと。』




優しくはないけれど、優秀でかっこいいと謳われている朋政先輩は、社内広報誌や会社案内、ホームページにも掲載されるほどの逸材だ。



そんな雲の上の人が、私を好きだというのだから、六神のいう悪天候も頷けてしまう。

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