第65話

家に帰ってスマホを見ると、まゆゆから、『うちらからの誕生日プレゼントは悪友との華金マンツーマン』というメッセージと、『六神に彼女いるって知らなくてなんかごめん。』という相反するメッセージが入っていた。



仕組まれた金曜の夜。



光栄なことに、結局私たち二人は、改めて仲が悪いのだと再認識致しました。



あなた方の苦労が何一つ実らない結果となりましたが、あなた方の自業自得だということをお忘れなく。またの機会がございましたら、という定型文は控えさせていただきますのであしからず。



ネタは生まれなかったと知ったまゆゆは、どういう反応をするだろう。



まあ彼女いるならどうにもならないよね。か、あるいは、すべきことをしなかったのもヒューマンエラーの一つだよね。とか言いそう。



でもみなまで説明するのは、またあの感情をぶり返しそうで気が重い。



そもそも私がまゆゆに、朋政先輩に告白されていたことを伝えていれば、仕組まれるなんてことはなかったはず。まだ先週のことだし、同じ会社の上司とのことだし、そんなすぐには相談出来なかったのだ。






『ごめん実来!非常事態で今から要件だけ伝える。後でこの優しくて優秀でかっこいい先輩が埋め合わせするから今すぐそのアルマジロ並みの脳みそフル回転させて!』


「……はい、フル回転させて頂きます。」



 

最初の「ごめん」が何も生かされてません。それが人にものを頼む時の態度ですか、朋政ともまさ先輩。


 

月曜の朝。まゆゆに話すべきか悩んでいた私に、そんな悠長な暇はなかった。自分を鼻にかける東京本部の朋政先輩から、内線がかかってきたのだ。



まさに今リアルタイムで渦中の人から内線電話がかかってきたというのに、ドキドキなどしている暇さえ貰えないらしい。 



そう、朋政先輩は、自然にやってのけるくらい、いじわるな人だ。

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