第47話
残るは目の前で酔い潰れている六神と、酔いに任せて取り乱さないよう気を付けていた私。
取り乱さないっていうのは、私がまだ六神に好意があるとばれるような行動は慎むという意味だ。決してあの時のような吐瀉物事件のことをいっているわけではない。
わざわざ私たち二人を取り残すなんて、まことしやかに計画的作為を感じるのは気のせいだろうか。だからといって、そのような皆様のご厚意に甘えないよう、私は残されたお冷を一気に飲み干した。
おろしたての腕時計は今にも23時を指そうとしている。終電もあるから、とりあえずかばんを持って会計へと向かう。
レジ前ではスーツ姿のおじさんグループが、しゃがれ声を上げながら奢り合戦を繰り広げていた。
会計待ちの時間を使って、スマホから六神に端的なメッセージをお見舞いする。
『先帰るわ。来週ちゃんとお金返してね。』
一般常識からいって、せめて起こしてから帰るべきなのだろう。でも六神の「かのじょにあいてー」発言により、私は心を鬼にせざるを得なかった。彼女に会いたいなら彼女に迎えにきてもらえばいい。
私が送って行ったところで、辛い思いをするのは目に見えていた。
皆が置いていったお金と自分の分、そして六神の分を長財布から取り出す。
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