第46話
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「あ、会社にリップ忘れてきちゃったー」
「えっ、あっ、僕もエラーで会社戻んなきゃいけないから、一緒にいこうか刈谷さん!」
「っもうシステム管理部しっかりしてよー。新年度切替でも年度が更新されてなかったじゃん?伝票の積載量が容量超えてきたんだからー!」
「そんなことある?!」
「あるよー!私の脳内メモリ爆発したもん!」
「いい加減ネットワークストレージ設置してもらうよう申請しないとな、でもまたセキュリティ問題でバタバタしそうだし……ってそっち?!」
「え?そっちってどっち?」
隣から聞こえてくる男女の攻防戦は、圧倒的刈谷の勝利だった。
経理部もシステム管理部も、インボイス制度に伴う電子化により、昨年度よりも忙しない日々を送っている。そんな中でようやく開催されたのがこの同期会だったらしい。
久々に刈谷とゆっくり顔を合わせられた大輪田くんにとっては、またとない機会だ。必死になるのも無理はない。
六神は両腕をまくらにして寝ている。
疲れているのかもしれないと、皆で起こさずにいた。私も、その柔らかい髪に触れてしまいそうな距離にいて、お新香という塩分で邪念を払うのに疲れていた。
ちなみに池駒はさっき帰って、まゆゆは今日は彼氏のうちにお泊りだからと30分ほど前に帰って行った。
「じゃあ実来さん、僕たち会社戻るから。」
「ぱるるん、ゲロりあんでフューチャーしないでね〜。」
結局刈谷と大輪田くんは、一緒に居酒屋を出て行った。
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