第42話
てっきり、あの別れた原因であるくだらない喧嘩のせいで、嫌われたもんだと思ってた。
でも社内公認も手伝ってか、実来は会社から駅に向かう帰り道でも、こうして平然と俺に話かけてくる。開き直っているのか、元からとんでもない阿呆なのか。
隣を歩く実来は背伸びをしない。
例えば一課から三課のフロアには、陽に当たるとピンクやらブルーが垣間見える茶髪で、毛先をゆるく巻いた女性社員たちがはびこっている。毎日髪型もバサバサしたまつ毛も抜かりなく、タイトなスカートにミュールのコツコツという音がフロアを響かせている。
まだ怒られるうちが華の若さで、周りに引けをとらないよう、必死に背伸びをする20代前半の女。もしくは必死こいて老いに逆らうアラフォーの女。
それで本人の精神的なもんが保たれるなら、それはそれでいいのだろう。
でも実来春風はフラットシューズで、大学時代から変わらないブラウンのミディアムヘア。諸問題に迅速に対応するためのシューズにパンツスタイルで、髪はぎりぎり結べる長さにしているらしい。
どちらかと言えば、可愛くて強そうにみえる女だが、実際は阿呆でとろいタイプ。
語学系の資格を持ってるくせに、しょっちゅう綴りを間違えるし、日本語を間違えたことだってある。実来は身の丈に合った生き方をしているのだろう。
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