第33話
「…………言葉もございません」
「…………」
「てか、……じゃあ、わたしが、裸だった理由って…?」
「それも覚えてないのかよ」
「…あれ??…もしかして…やって、ないの?」
はああぁ、と大きくため息をつく六神。
散々迷惑という名の武勇伝を作った私は、それでも尚自分の性的魅力について問い詰めようとした。
「やって?やって、ないの??えっち、したんじゃないの?」
「…………」
何も言わない六神。
バカみたいなことを尋ねる私。
そりゃ怒るわ。女の過ちを男が代わりに謝るなんて、保護者か謝罪代行サービスくらいなもんだろう。
でもじゃあ、さっきまでの甘いだけの六神がいた理由って一体なんなの?
あたかも愛おしそうに、私というげろまみれになった女に、あんなふかいキスを施した理由って。なに?
「ごめん。ごめん、なさい。私が悪いのは重々承知なんだけど。」
「…………」
「…でも、さ。裸の彼女がいても襲わない理由って、なに?というか、なんで今まで、その……」
「…………」
だんまりだ。
私から目をそらすわけでもなく、じりりっと鋭い視線が、私の心臓とそれを取り巻く内臓をずきずきとつついてくる。
怒鳴って怒られるよりも、だんまりの方がずっと怖い。なにがどう悪かったのか要因と反省点を並べて怒られる方が十二分にいい。
なにも言われないと、自分はこの先何も期待されてないのかと思ってしまうから。
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