第31話

「いや、さすがに服洗濯しないと臭すぎだろ。」


「……は?」

 

「は?って。」

 

「……」

 

「あんな事態まねいといて。服洗濯しないとかやばすぎだろ。」


「……」


 

くさい?くさいってあの“自分大好き“と書いて“臭い”ってやつ?



私が?私の服が?私という生命体が?あるいはつぶ貝キムチが?

  


洗濯洗濯って。そりゃ洗濯機もくさくなるよ?と、これ以上“くさい“ばかりにとらわれていても仕方がないので。



というか、「あんな?」?って、どんな?


 

記憶を掘り起こそうとする私が、どんなまぬけ面だったのか。六神が、怪訝そうななみだ袋で私を威嚇する。




「……てかもしかして、…覚えてない?」


「……え、な、なにを」


「どっからどこまで?いやどっから覚えてる?」



彼シャツを着たまま立ちすくむ私。このままタイムカプセルに入れて埋めてもらえるとありがたい。



「いやマジで。」



六神が、なぜだか必死に追求してくるわけで。



今すぐ確認したい欲求丸出しというよりも、お前記憶ないまま彼シャツで呑気にたべっ子食べてたのかよ。といったところだろうか。


    

「…………さーせん」

 

「っまじ、かよッ」

 


私のふかい謝罪に、六神が頭を抱えてしゃがみ込む。



「こんな時に、避難訓練カナっ?」



不必要極まりなく発言をする私。もっと周りの空気を読んでいこう自分。

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