第20話
そんな刈谷が、ふて寝に走る六神を尻目に、私をじっと見つめた。
「ぱるるんって今でも本部のスパダリさんと繋がってるの?」
「…スパダリ?なにそれ?」
「スーパーダーリンの略だよ?」
「……」
「ほら。イケメン高身長でイケメンのー、ほらほら、スパダリさんっ。」
「ああー…、東京本部の、
たった三つのワードで答えを導き出した大輪田くんに、「多分それそれ」と手を叩く刈谷。
「ぱるるん、よくスパダリさんと連絡取りあってるじゃん。」
「職場で取りあってるだけじゃん。」
「でもこないだの夜、二人で飲んでなかったぁー?」
「わざわざ本部から来た上司の誘いは断れないでしょ。」
コンテナ不足で、船の遅延が続いている横浜港への視察に来たというだけで、たまたまその日の夜、たまたま暇だった私と飲みに行ったというだけ。だ……。
「…え、なに。刈谷さん、朋政課長のこと狙ってるの?」
大輪田くんが、平然を装いつつも、意味深長にそう聞いた。
酔っていないはずの大輪田くんの今の声、いつもより確実に張っていたし。左ききの大輪田くんが、右手に箸を持ち替えたのを私は見逃さなかった。
「え?“ともまささん”て、だれ?」
頭にハテナを置く刈谷。で、頭にハテナを3ダース並べる大輪田くん。
刈谷の中では、すでに“スパダリさん≠朋政さん”なのか。わざとボケているのか、天然なのかは分からないけど。うん、なんとなく大輪田くんが刈谷に気があるんじゃないかというのは理解できた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます