第19話
食べすぎ、飲みすぎ、笑いすぎにより今にも酔い潰れそうな池駒とまゆゆ。寒いオヤジギャグでも処方してあげたい。
そして飲みすぎで、目がとろとろしている六神。
いつも介抱役の六神が、飲みすぎるなんて珍しいかもしれない。酒と混ざった六神はいつにも増して色気が激しい。
「かのじょにあいてー」
すでに飲み終わったグラスを手に、左右に彷徨わせる六神。甘くてとろんとした目元からは、想像もつかないほどしょっぱいことを、小さくつぶやいた。
私、マウント取られてるのかな。うんマウント取られてるんだろうな。そう思わないと生きてけない。
もし今のが自然に出たつぶやきだったのなら、もう私は明日あさってが生きられない。きっと来週からしか生きられない。
システム管理部の大輪田くんは、まだこの後仕事が残っているから会社に戻らないといけないらしい。つまり、左手に持つアレはウーロン茶かなにかで、アルコールは入っていないことになる。
「刈谷さん、さっきブランデー飲んでなかった?」
「飲んでたよ〜、今はラムレーズンカクテル飲んでるー。」
全く酔わない刈谷に、黒ブチ眼鏡の大輪田くんが優しく笑いをこぼす。そして私は、ラムレーズンカクテルとか、なかなかのキワモノ好きなツワモノだな、と失笑をお茶でにごす。
グラスの底から、ラムレーズンを箸で取る刈谷は、まゆゆとは対象的に背が低め。くるりとパーマのワンレンボブで、キャラクターものばかりで鞄の中を埋めつくしている。
不思議ちゃん系の刈谷は、不思議なことに経理部所属だ。「簿記一級保持者だから〜」と自分で言っていたけれど、あれは嘘かほんとか。
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