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第19話
――とうとう、来た退園の日。小春日和である。直の教室は、施設と学校
の玄関が見える。玄関の所で範加と雅名のお母さんが荷物を車に入れて
いる。
直の教室では、直、千春、退園する範加と雅名が話している。
「ありがとう。ちい。楽しかった。毎日、おちょっくて、ごめんな。看護師の言う
事を聞きよ。また、手紙を書くからな。それから、直君、千春の事を頼むな。
さようなら」
「ちいちゃん、泣かないでね。今日は、それぞれの新しい旅立ちなんだからね。
また会えるわ。その日までお互いに頑張ろう。萩夜君の事も諦めずにいるか
ら。萩夜君と会うと辛いから。会わずに行くわ。ちいちゃんも、直君もちゃんと
言いなさいね。後悔するわよ」
二人は荷物を持ち、直の教室のドアを開けて、お母さんの所へ行こうとした。
思わず、千春と直は、二人を止め、四人で玄関に行った。
「......のー・まーちゃんも元気でね」
千春は作り笑いしながら、詰まりそうになる声を我慢した。
(のー・まーちゃん、本当に、本当にありがとうね......)
千春は思いつつも、直の顔を見た。
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