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第20話


「頑張れよ」



 直が手を振った。その時、萩夜が来て、大声で手を振りながら――。



「またなー!」



 雅名は、範加の肩を優しく抱き、二人で振り返った。



「ばいばい」



 二人は、大声で叫びながら手を振った。二人は、車に乗り、施設と学校を

 去ってしまった。



「行っちゃったね」



 千春は、空を見上げた。直も空を見上げながら。



「行ったな。寂しくなるな。また、桜が咲くな」



 萩夜は、空を、ぼっーと見つめて、黙り込んだままだった。



「......うん」



 千春は、直の顔を見て、また、空を見上げた。



 三人は、施設と学校の玄関でずっと、空を見つめていた。中学部二年生に

 なる千春。高校二年生になる直と萩夜。



 それぞれの思いを残したまま、次にどんな新しい事を起きるのかを予感させる

 ような空だった。




                 ―完―

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