終 幕: 春 三月の別れ

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第18話


 三月、暖かなある日。学校も春休み。あまり人がない。千春と直は、直の

 教室で直の忘れ物をカバンに入れながら、いつものように話している。



「なぁ、のー・まーちゃんは、明日に退園するんだよなー。僕、嫌だよ。いつまで

 も、このままでいたいよ」



 千春は、今にも泣きそうな顔をした。



「......仕方がないだろう。俺も、『本当は嫌なんだからな。誰にもこのままでいた

 い』と思うよ。でも、いられないんだよ。嫌でも我慢せな。進まないと、何も始

 まらないんだよ。まっすぐに。また、会えるよ。だから明日、笑って送ろうな」



(ちいに言ったけど。こいつには無理かもしれん......)



 思いながら、直は、千春の頭を撫でた。



「......うん」



 千春は、にこりと笑った。直は、千春の頭を自分の肩へと寄せた。

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