第二幕：冬　オリエンティーリング　～有美を探せ～

　冬休み中、今日は、オリエンティーリング大会。

　オリエンティーリング大会は、看護婦も学校の先生も

　一緒になって、子供達とする年に一回だけある大イベント。

　この大会は、朝の九時半から夜の八時半まで、学校をチームごとで、色ん

　な事をやりながら、クイズ形式で回る。

　この時だけは、消灯時間を十時まで。子供達にとっては、嬉しくて楽しみに

　している大会。

　範加と雅名もちょうど高校が休みなので参加する。

「......早く、体育館に行かないと遅れるよ。直君は」

　千春は、直の部屋の前で叫んだ。すると、直は部屋から出て来て――。

「はいはい。もう、うるさい奴だなぁー。ちい」

「......ご・め・ん、ね。うるさい奴で......行くよ。僕は」

　千春は勢いよくこぎ出した。直も電動車椅子で後を追いかけた。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい