5

第9話



「あぁ、おっちゃんのおじいちゃんから聞いた話だけど。『この町には、山のお寺

 にたくさんのお墓が立てられていた。でも、お寺は、借金のために他の人に買わ

 れた。お墓も壊させた。その後に埋められて、立派なスーパーマーケットを建て

 られた。しかし、色んな事件が起こって、そこの社長は、怖くなって逃げ出し

 た。誰もそのスーパーに近づかなくなり、廃墟になった』という話。そこには、

 今でも色んな噂がある。だから、ここはお墓じゃない。学校の体育館の裏にある

 桜通りもそのお寺に繋がる道なんだ。『幽霊が出る』とか『昼間に人が乗ってい

 ないのに、動いて通って行く』と見たって人がいるのは、そのせいだったよ。長

 くなったけど」



 晴おじさんは、お茶を一口飲んで、窓のそばに行った。千春達はずっと黙った

 ままだった、が。



「……うん。そうか。そうだったのか。何だか損した気分。」



 雅名は、なんだか、がっくりしたような顔をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る