第3話


「ちい、また、ここに居たのか。犬飼が、処置しに看護室に来いって」



 電動車椅子に乗った高校生ぐらいの、薄い黄色の上下のトレーナーを着た男の子が言った。



 彼の名前は、香月 直(コウヅキ ナオ)直は、千春より三つ上の高等部一年生。一五才の男の子。



外見は、お笑いタレントのウッチャン、ナンチャンのウッチャンに、顔も体の白さも似ている。



何処か触れたら、壊れそうなのに、『心が強くこうだ』と思ったら、即行動に出る癖もある。



とても優しくて、自分が、身体の筋力を弱っていく病気で一番、辛いのに、皆に優しく、思いやりのあるというか



……男の人にあまりいないタイプ。



 父性本能が人一倍強い。だから、千春の事を『ほっとけない』って、言って、出来の悪い妹を見るお兄さんように、



よく面倒を見ている事から、皆から、『直兄ちゃん』って親しまれている。



「うん、じゃあ、僕、行くけど。直君も、行く?」



 千春は、車椅子をこぎ始めた。

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