第3話:即席うどんのCMみたいになっちゃうけど。

「絵馬・・・妖怪って噂、本当か?」


「妖怪じゃなくて半妖・・・お母さんが妖怪でお父さんが人間、妖怪と人間の

ハーフだよ」


「お〜安倍晴明みたいだな・・・」


「誰それ?」


「超有名なのに知らないのか?・・・検索しろよ」


「そんなのどうでもいいから聞いて・・・そしたらめちゃ同情するから」


「そう言うのは話を聞いて俺が判断するもんだよ」


「いいから・・・」

「あのね、私のお母さんって人は「萩の葉」って呼ばれる狐の妖怪だったんだって・・・私はそのお母さんを知らないの・・・私が生まれてすぐお父さん元を去ったみたいだから・・・なんかね、お母さんが妖怪だからって親戚の人たちから虐待を受けたみたい・・・あまりに可哀想んだからってお父さんがお母さんと離婚してお母さんの故郷の岩手県に帰したんだって・・・」


「だから私はお母さんには一度も会ったことないの・・・それから私が小学生時

お父さんが病気のせいで亡くなっちゃって・・・私が半妖だからって親戚の人たち

誰も私を引き取ってくれなかったから一人になった私は施設に預けられたの・・・」


「まあ、でも施設に入れば私が半妖だって知ってる人はいないからいいやっ思って

たら親戚の従兄弟や再従兄弟が私が妖怪だって学校中に言いふらしたから・・・

妖怪じゃなくて半妖なんだって・・・」


「で、私が妖怪だって噂が流れたの・・・高校時代はそれで友達もできなくて

いじめに会っちゃって・・・なにくそって頑張って大学に入ったの・・・」

「でも大学でも、まことしやかに噂が流れてるみたいね・・・きっとどこへ行っても

ついて来るんだよ、私が妖怪だって・・・半妖だけどね」


「そうなの・・・私、可哀想って思うよね・・・ね、同情しちゃうでしょ?」


「まあな、気の毒だとは思うけど・・・」

「その・・・半妖って・・・まさかだけど狐耳とか尻尾がぴょこんって出たりする

のか?」


「見たい?」


「俺は、ラブドールよりそっちのほうに興味あるけどな・・・」


「見せてもいいけど、即席うどんのCMまんまになっちゃうけど・・・」


「そんなことできるなら、余計面白いじゃん」

「もし狐耳と尻尾が見れたら、迷わず彼氏になってやるけど・・・エッチも含めて」


「本当?・・・引かれるかと思った」


「俺はそう言う話、大好きだって知らなかっただろ?・・・大好きなんだよ」


そう言うと俺は部屋の本棚を絵馬に見せた。

本棚には妖怪に関する専門誌やオカルト雑誌に水木しげる先生の漫画がびっしり

並んでいた。


「わ、すげえ・・・・五六ふかぼり君マニアック〜」


「俺って摩訶不思議オタだから・・・」

「な?だから俺の彼女が半妖でも妖怪の血が体に流れてるなんてのは俺にとっちゃ

心揺さぶられるくらいマストなの・・・」

「だからラブドールなんて手の込んだことしなくても私、半妖なのって、ひとこと

俺に言ってくれたら即、俺って彼氏をゲットできてたんだよ」


五六ふかぼり君、変わってるね、狐でも抱ける?」


「そりゃもう・・・ラブドールなんかより抱ける・・・考えただけで武者震いするし・・・鳥肌立つし・・・」

「自分の彼女が妖怪と人間のハーフなんて、ボツワナでダイヤの原石掘り当てるのと

同じくらい貴重だからな」


「よかった〜本当は人間の姿でいるの意外に疲れるの・・・本当の姿でいられるなら

それが一番いい」


「俺の前でなら好きでいていいから・・・ラブドールになんかならないでさ」

「だから絵馬・・・俺たち付き合わないか?・・・そういうことはしょらないで」


「いいけど・・・私ラブドールにまでなったんだよ」

「私の一生懸命無駄にしないために・・・よかったら抱いてみない?」


「だから、はしょらないでって言っただろ?・・・いろんなところに遊びに言って

美味しいモノも食べて、いっぱい楽しんでからね・・・」

「邪魔だけどせっかくだから、このダンボール置いとくから、その時はまたラブ

ドールになってよ」


「いいよ・・・ブラとパンツいる?」


「いるいる・・・それはないと・・・履いてくれてないと脱がす楽しみないもん」


「わ〜スケベだ〜」


「そんなの普通だよ」

「俺、妖怪とエッチできるなんて夢みたいだな・・・水木先生喜んでください・・・俺、狐の妖怪の彼女ができましたよ・・・」


「狐の妖怪じゃなくて半妖・・・ハーフだよ」


「ハーフ大好きだよ・・・上等だよ・・・即席うどん用意しとかなきゃな」


つづく。

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