第2話:ラブドールからの半妖。

で、俺はもう一度よ〜くラブドールの顔を見た・・・・。

化粧なんかしてるから分かりにくかったけど・・・。


「誰かに似てる気がする・・・・・・・・あ!!」

「あ、あ、あ、あ、か、かみしろ・・・神代 絵馬かみしろ えま!!」


そしたらラブドールがパチパチ瞬きした。


「このたびは、AI搭載のラブドールをご購入くださいまして誠にありがとう

ございます」


「なに、ロボットみたいな話方してんだよ・・・絵馬えまだろ?」

「分かってんだよ・・・化粧なんかして誤魔化そうたってそうはいかねえの」


俺は神代 絵馬かみしろ えまのことはよく知っていた・・・むちゃくちゃ親しい間柄じゃなかったけど、それでも大学で会えば普通に話もする。

ただ、まさかのラブドールになんかなって俺んちに来ると思わないから、びっくりだよ、何考えてんだか・・・。


「なんでまたラブドールなんて、こんな手の込んだことしたんだよ」

「何が目的で自分を俺のところに送って来たんだ?」


「バレてた?」


絵馬は段ボール箱から上半身だけ起こして言った。


「顔、よく見たら誰だかすぐ分かるわ・・・化粧なんかしやがって・・・」


「箱から出てもいい?」


「そんなこと聞かなくても勝手に出ればいいだろ?」

「つうか・・・下着はマズいだろ?下着は・・・エロい気分になるだろ?」


俺は洋服ダンスから俺の服を絵馬に出してやった。


「まじでだけど・・・なんでこんなことしたんだよ、しかもトリセツ手書きって

プリンターとは使えよ・・・まじラブドールだと思ってもうちょっとで、やっちゃうところだったじゃないかよ」

「おっぱい舐めそうになったじゃないかよ」


「それが狙いだったんだけど・・・」


「なんだって?」


「言っちゃうけど・・・私、五六ふかぼり君のことが好きだから・・・前から」


「は?・・・好きだって?・・・うそ・・・それはまた衝撃的」


「好きなんだけど、普通に告っても十中八九ダメだと思って・・・断られたら

嫌だし・・・」


「好きだって告られて悪い気しないし・・・断ったりするかよ」

「それにしたって、俺がまじやってたらどうるんだよ・・・自分の体をもっと

大事にしろよ・・・他に方法あっただろ?」


「告ったとして五六ふかぼり君から「いいよ」って返事もらっても・・・そこから付き合う

ようになって、それからありきたりなデートなんかして時期が来たらエッチしてなんてまどろっこしいから・・・そう言うの全部、はしょっちゃおうと思って・・・」


「ラブドールになって五六ふかぼり君っちに行けば、もしかして、どさくさに紛れて五六ふかぼり君が我慢できなくなって私をナニしちゃえば既成事実ができちゃうと思って・・・それなら私が五六ふかぼり君の彼女確定でしょ?」


「なに考えてんだか・・・そんなこと考える女なんて普通いないよ?」

「無茶苦茶だな・・・」


「今からでも遅くないけど・・・襲うなら今だよ五六ふかぼり君」


「こんな形でこんな状況ではいそうですかって、できるかよ」


「しないの?・・・チャンスだよ?」


「つうかさ・・・俺、絵馬のこと噂だけど聞いてるぞ、むしろ俺はそっちのほうが

興味あるけどな・・・」


「ああ・・・五六ふかぼり君は、そっち気になるんだ・・・」


「絵馬・・・妖怪って噂、本当か?」


「妖怪じゃなくて半妖・・・お母さんが妖怪でお父さんが人間、妖怪と人間のハーフだよ」


「お〜安倍晴明みたいだな・・・」


「誰それ?」


つづく。

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