檻の中の男
「また、下痢してるよ」
府川康之は、ケージの中を覗き込みながらため息を大きくついた。生後二週間の二匹の子猫が、ミャアミャアと勢いよく鳴いている。猫の鳴き声は甲高く、思いのほか繁殖場に響き渡っている。猫の種類はエキゾチックロングヘア。白いふわふわした毛並みが特徴の猫だ。その可愛らしいいで立ちとは裏腹に、おしりは茶色の汚物で覆われていた。鼻を突くような臭いが、ケージ内に充満している。頻繁に下痢を繰り返しているので、おそらく何らかの感染症か、または内臓疾患を患っている可能性が高い。床に敷いたシーツにベットリとフンが塗り付けられているところを見ると、まだ交換してないらしい。あいつ、またサボりやがって。何度同じこと言わせんだよ。今度こそは許さねえ。
「おい! 橋爪!」
俺は大声でドアに向かって怒鳴りつけた。すると、すぐにドアを開けて橋爪誠がやってきた。ブルーのTシャツの襟首は、汗シミが纏わりついていて額には大粒の汗を搔いている。
「こんなに汚れてんじゃねーかよ。さっさと、始末しろよ」
「は、はい、すみません」
橋爪は、何度も恐縮そうに頭を下げた。彼を雇って半年ほどになる。面長な顔つきで全体的にほっそりとした体形をしているので、スーツが良く似合いそうな男に思える。彼がここを希望したのは、動物が好きだからという単純な理由だった。弱々しい出で立ちから期待はしてなかったが、思ったよりも働いてくれている。
橋爪の前に雇っていた二十歳の女は一週間もしないうちに辞めていったし、その前も一か月持たなかった。ここ一年の間、数人の従業員が辞めていった。新規の従業員を募集して採用するが、長く続いた試しがない。でもこいつは一人では到底無理な猫の世話を、文句も言わずにしてくれている。だからだろうか、言い方がいつもキツくなってしまうのだ。
「それが終わったら、ケージの中も洗ってくれ」
「分かりました」
「ちゃんと水拭きするんだぞ。臭いがキツくてたまらんよ」
俺は右手を鼻の前で大きく振った。ここだけではない。ケージは部屋の中に数えきれないほどある。そのすべてから異臭がするのだ。水拭きだけでは臭いは取れないだろう。
「あの……すみません」
橋本は申し訳なさそうな声で、俺に問いかけた。
「何だよ」
「この猫、何ですが」
橋本の指さした先に、アビシニアンの子猫が横たわっていた。呼吸は浅く今にも息を引き取りそうな気配が漂っている。
「この子、昨日からご飯も食べないし、相当しんどそうなんで、病院に連れて行きたいんですが」
「ダメだ! そんな金、あるわけねーだろ! 家賃だって払うのに手一杯なのによ」
「毎日、何十匹と出荷してるじゃないですか。それで家賃に困るってあり得るんですか」
「あぁ?」
「い、いやその、お金に困ってるように見えないんで……すみません」
語尾が聞こえないほどのか細い声で問いかけてきた。恐縮仕切りの橋爪を見ているのは、実に愉快だ。俺は思わず笑みをこぼしながら答えた。
「あぁ、困ってるよ。毎日出荷したって、死んでく猫の方が多いからな。死ぬ猫は金にはなんねぇから、まだまだ足りねぇんだよ」
「そうですかぁ……そうなんだ」
橋爪は、自らを納得させるようにつぶやいていた。明らかに不満顔の橋爪に怒りが込み上げてきた。この部屋の中には、約五十匹以上の繁殖猫がいる。以前であれば制限なく交配が出来ていたが、数年前から雌猫の出産に制限ができた。8回までの交尾しかできないので、約半分の売り上げが減ってしまった。
「何だよ。何か文句あんのか?」
「あっ、い、いや、何でもないです。すみません」
恐縮そうに言いながらケージの扉を開けて子猫を取り上げると、そのまま奥の洗面室へと消えていった。あの子猫のお尻の糞を洗うのは大変だろう。シャンプーを何度も繰り返さないといけない。臭いが残ったら、すぐに洗い直させる。その理由は、子猫をすぐに出荷させるためだ。ペットショップに行ってしまえば何とでもなる。病気で苦しくても、子猫はもともと大人しいので病気とは気づかれにくい。それを逆手にとって、一日でも早く出荷させるのだ。もちろん購入後に病気が発覚することは往々にしてある。でも、相手はめったなことがない限り、訴えてはこない。大体は、泣き寝入りで終わることが多い。それはいつ病気にかかったか判断ができないからだ。訴えるにしても費用と時間がかかるので、大抵の人間は断念する。売ったもの勝ちだ。
ドアを開け廊下に出ると、二階へと上る。事務所の中に入り、崩れるように椅子に座った。今日は朝からペットショップを三件回って配達してきた。人手がないので仕方ないのだが、五十二歳の体には少々堪える。そこまでしないと、経費を抑えなければいけないのが現状だ。
「コーヒーでも飲むか」
重い腰を上げて流し台に向かった。ポットにお湯が残っておらず、やかんで水を入れた。ここは事務所兼住居として利用している。数年前まではアパートを借りていたが、家賃さえも惜しくなりここが住まいとなった。橋爪もここを利用するので、ソファーベッドは普段を折りたたんでいる。
どこで梯子を踏み外したのだろうと思うときがある。ブリーダーを始めてから、約十年が経とうとしていた。儲かるからと知人に勧められたのがきっかけだった。その前は、運送業の社長を。だがガソリン代の値上がりと人件費に苦しめられ会社は倒産した。妻も一人息子を連れて家を出ていった。残されたのは、一億を超える借金とペルシャ猫一匹だけだった。
当時の俺は、とにかく儲かる仕事がしたかった。家や車などを売って借金は半分まで減ったが、それでも五千万は払わなくてはならなかった。夜逃げすることも何度も考えた。逃げてしまえば、全てがチャラになる。楽になると思った。でも、俺のプライドがそれを許さなかった。新しいことをして全部返してやろうじゃねえかと、一念発起してブリーダーに転身した。
ブリーダーになれば、猫に子供を産ませるだけで金が入ってくる。一匹数十万もの大金が懐に入ってくる。そうすればすぐに借金を返せると高をくくっていた。楽な仕事だと勝手に思い込んでいた。
でも現実は全く違った。儲かるどころか、借金をすることが少なくなかった。猫は健全な子猫を産むわけではない。奇形児が産まれれば売り物にはならないし、死産になることも珍しくない。子猫という商品が少なくなれば、当然売り上げも減る。それよりも大きな負担になっていたのは、維持費だ。餌代やトイレ砂等などの費用が馬鹿にならない。その中でも一番のコストは、人件費だ。俺だけでは猫の世話はできない。人を雇わなければならないが、安い給料では人は来ない。だから、雇う人数を絞ることにした。現在従業員は橋爪だけだ。正直、一人では大変な作業だろう。文句を言わずに働いてくれる真面目な男だと思っていたが、今日初めて俺に逆らった。文句の一つでてもおかしくない状況だ。でも、一人で頑張ってもらうしかない。そのために、高い給料を払ってやってるんだから、それぐらいは我慢してもらわないと困る。
法律が改正されて繁殖回数が制限されなければ、もう一人雇ってもいいのだが現状は仕方ない。年々ブリーダーにとって不利な法律になっている。それが、俺を苦しませている。
お湯が沸いたのでコーヒーカップを取ろうとして食器棚に手をやると、壁に貼られたカレンダーに目が留まった。
「あっ、誕生日だ、俺の」
明日、俺は五十三になる。何度も辞めようと思っていたブリーダー業も、十年以上も月日を重ねていた。今さら後戻りはできない。この仕事で、あと一千万稼がなければならない。そうすれば、残りの借金を払い終わる。それまでは、頑張らなければならない。でも、
その前に体力が持つか心配だ。たとえ体がもたなかったとしても、軍資金を作ったら、トンズラしてしまっても構やしない。上手くいかなければ、山の中に猫を置き去りすればいい。それは俺たちの業界では暗黙の了解なのだ。
インスタントコーヒーをコップに入れお湯を注いでいるとき、ポケットの携帯が鳴った。あいつからだった。
その日の午後、一台のワゴン車が事務所の前に止まった。
「ちっ、また遅刻かよ」
時計を見ると、深夜十一時になろうとしていた。電話をもらってから五時間以上が経っていた。急いで階段を駆け降りると、玄関のドアを開けた。目の前には白いワンボックス車が止まっていた。ドアが開くと、柄物のTシャツとブルーの短パンを着たラフな格好の加山が出てきた。
「すまんな、遅くなって」
「すまんなじゃねーよ。何時だと思ってんだ」
明日は四時起きで横浜まで行かなくてはならない。一刻も早く帰って寝たいのに、こういう時に限って眠らせてくれない。そんなことも知らずに、澄ました顔で俺に尋ねてきた。
「今日は、どのくらいだ?」
「これだけだ」
俺は、右手指を二本立てた。
「二百か。今回は少なかったな」
「あぁ。人手が足りなくてな。繁殖が思うように進まなかったんだよ」
「そうか。じゃあ、持ってくぞ」
加山は事務所の中に入ると、段ボール箱を抱えて車の中へと運んでいく。中には猫の死骸が入っている。さっきまで冷凍しておいたから、臭いは全くしない。段ボールは全部で十箱あった。更に、生きている子猫が入ったゲージも、車の中に入れて行く。この中の子猫たちは、足や指先がなくて産まれた奇形児たちが入っている。どうやっても売り物にはならないから、処分してもらう。
「ご苦労さん。じゃあ、これ」
俺はポケットから現金の入った封筒を加山に差し出した。加山は封筒から一万円札を取り出すと、一枚づつ数え始めた。現金で渡す理由は、もちろん証拠が残らないためだ。この現金は、帳簿上では別の経費へとすり替える。そのためには、現金でなければならない。
「毎度、どうも。また、よろしく」
満足そうな顔を浮かべながらそう言うと、加山はこの場を離れて行った。
「さあ、寝るか」
大きなあくびが口をついて出た。時計を見ると数分で翌日になろうとしていた。睡眠時間は、約三時間。さあ、早く眠りにつかないと、居眠り運転になってしまう。俺は、重たい体を動かしながらと寝床へと向かった。
翌日、仕事場に来ると橋爪が猫の厩舎で作業をしていた。
「あのー……」
「あっ? 何だよ」
「すみません。一つ聞きたいことがあるんですけど……」
「何だよ」
「えーっと、ですね……」
早く話せよ、ボケ。言いにくい話であることは想像できたが、貧弱そうなしゃべり方がどうも肌に合わない。
「すみません。昨日、具合の悪いアビシニアンの子猫がいたんですけど。見当たらないんですが、どこに行っちゃったのかなぁって思って」
商品にならないから、加山に始末してもらうように頼んだ。そう伝えたら、橋爪はどんな顔をするだろうか。
「その子、両目の視力が良くなくて病院に……すみません」
こいつは、どこまでもいいやつなんだろう。引き取り屋に流してるって話したら驚くよりも悲しむだろう。だが、口を滑らせてはいけない。決して外に漏れてはいけない。法律で禁止されてはいないが、行政の耳に届けば目を付けられてしまう。ただでさえ、ブリーダーに対しての風当たりが強い世の中だ。最低なブリーダーというレッテルが付き、仕事が出来なくなってしまう可能性もある。
「それと、ロシアンブルーの子猫は具合が良くなってきてたんですけど、その子も今日来たらいないんで、気になってしまって……すみません」
橋爪は頭を右手人差し指で搔くと、何度も頭をペコペコと下げた。さっきから何度も謝りやがって、ウザい野郎だ。しかし橋爪の態度は、何も知らないという無垢なものを感じさせた。まあ、こいつ、何にも知らないみたいだから、少しだけ説明してやるか。
「引き取り屋に売った。知らねえか?」
「引き取り屋? 初めて聞きました」
「猫を処分してくれる奴らのことだ。そいつに、渡した」
「へ、へぇ、そうなんですねぇ」
明らかに橋爪は同様していた。まさか、生きてる猫まで処分するなど思ってもいなかったのだろう。
「あの、引き取り屋って、どんな人がやってるんですか? 詳しく教えていただけますか」
「何だよ。そんなこと聞いて、どうすんだよ」
「いや、自分もブリーダーになりたくて。お願いします」
そう言うと、橋爪は頭を下げて懇願してきた。ブリーダーなんてなるもんじゃない。本当はそう言いたかった。ただ儲かりそうな話に飛びついたが、後悔しかない。儲かるどころか赤字の月が続くことも一度ではない。体力があるうちはいいが、年齢を重ねるとキツい仕事だ。五十三歳になる俺に、再就職の場所があるはずもない。
「分かった、分かったよ。特別に教えてやるよ」
何度も頼む橋爪に根負けした。
「障害を持って生まれたとか、ペットショップとの兼ね合いで、希望していない品種の猫が余ってしまう時があるだろ。そういった時に、引き取り屋に頼んで全て引き取ってもらうんだ」
「えっ、でも、結局お金はかかるんですよね」
「まあな」
市に引き取ってもらうことはできない。だいぶ前に法律が改正されてから、ブリーダーからの持ち込みは拒否することができるようになった。山の中に捨てるブリーダーが多いのはそのせいだ。
「で、一回の料金はいくらですか」
橋爪は、やけに熱心に聞いてきた。その熱心さは、返って不信感を抱かせた。俺が黙っていると、橋爪は苦笑いを浮かべながらこう言った。
「大丈夫ですよ。他言はしませんから」
そう言って、再び満面の笑みを浮かべた。まあ、こいつが他所に垂れ込んだとしても、誰も話を信じないだろう。働き始めたばかりのアルバイトの話を誰が信じるのだろうか。
「凍ったやつだと二十五で、生きたやつは五十だ」
「えっと、凍った遺体は二十五万で、病気持ちや障害がある猫は五十万で引き取ってもらうってことですか」
「そうだ」
「えっ、でも、高くないですかね。死んだ遺体を処理するだけで、二十万以上払うって」
「口止め料だよ。心配な時は、倍は払う時もある」
初対面の引き取り屋の場合、大抵は大金を積む。やはり、外にバラされるのが怖いのだ。
証拠隠滅。二百匹以上の死骸を始末するには、正規のルートでは処理できない。役所にバレれば、ブリーダー業をはく奪されることはないがそれなりに目を付けられる。言わば監視対象にされるのだ。それが嫌で、加山に処理を頼んでいる。口止め料として料金は上乗せしているので、密告されることはない。金額は張るが、足をつかせないためには、高い投資だと思って割り切っている。
「へー、そうですか」
突然、橋爪の声のトーンが低くなった。態度が急変した橋爪を見て、動揺を隠しきれずにいた。
「お、おい、どうしたんだよ?」
「あんたのやってることって、動物愛護法に違反してるよ。分かってるのか?」
何だよ、橋爪。どうしたんだよ。彼の顔は、鬼の形相に変化していた。今まで見たことない表情で、俺を睨みつけている。
「お前を、動物愛護法違反で逮捕する」
橋爪はポケットから警察バッジを取り出すと、俺の目の前に突き出した。そして、俺の右腕を引っ張ると、手錠を掛けた。
「イテテテ……」
気が付くと、冷たい床に寝そべっていた。頭と腰が異様に冷たく、節々が痛くてたまらない。どのくらいこの体勢でいたのだろう。目の前が何も見えないので、今何時かも全く分からない。
ゆっくりと起き上がると、周囲を見渡した。何も見えないということは、夜だということなのだろう。さっきからお腹がグウグウと鳴っているので、丸一日は経過しているはずだ。
「おーい、誰かいるかー」
かすれた俺の声が、暗闇に響き渡った。耳を澄ませても、物音一つしない。
「誰かいるかって、言ってんだよ! 答えろよ!」
虚しくも俺の声は、ただ響き渡るだけだった。ふと、自分が目を開けているのか疑問が湧いた。本当に全く見えないからだ。意識して両目をパチパチと動かした。でも、全く何も見えてこない。
「クッソー、何なんだよ!」
俺は、サツに捕まった。橋爪はアルバイトではなく、刑事だったのだ。よくも俺を騙しやがって。出てきたらぶんなぐってやる。
「おい! 橋爪出てこいよ! 話しよーぜ」
俺をこんな冷たい牢屋に閉じ込めやがって。ただじゃおかねーぞ。
「何だよ、さっきからうるせーな」
暗闇から突然声が聞こえてきた。橋爪の声だった。
「おい! 橋爪コノヤロー! てめー、騙しやがったな」
「騙したんじゃねよ。検挙したんだよ」
「検挙だって? そんなことしたって、また不起訴になるのにな。無駄だったな」
俺は、思わず笑みをもらした。俺の不敵な笑みを見たら、橋爪も少しはビビるんじゃないか? 多分、証拠不十分で不起訴にるはずだ。前回だって、そうやって釈放された。今回だって大丈夫はずだ。残念だったな。
不満げな橋爪の顔を拝みたかったが、肝心の橋爪がどこにいるか分からない。橋爪のやつ、どこで話してるんだ?
「おい、お前。どこで話してんだ? 出て来いよ」
一瞬、沈黙があったのち、右耳の近くで声が聞こえた、
「ここにいるよ」
橋爪の声は、確かに耳元で聞こえた。でも、姿が見えないのだ。
「お前、目が見えないのか?」
「お前には見えてるのか、俺のことが」
「見えるよ。お前は、見えてないのか。両目は開いてるのに」
見えない。何度も何度も目を凝らしても、目の前は暗闇に包まれている。橋爪のつぶやきが耳の側で聞こえた。
「お前、アビシニアンみたいだな」
「アビシニアン?」
「繁殖場にいた猫だよ。目が不自由な猫がいたろ」
「……あぁ、あの繁殖小屋にいた猫か?」
茶色の毛並みが綺麗な猫だったのは覚えている。ただ、目が見えないと商品にはならない。
「だから、捨てたのか。ロシアンブルーの子も。あの子も病気だったけど、治りかけてなのに。お前が捨てなけりゃ、大切な命が失わなくて済んだのに」
「は? 何言ってんだお前。一度病気になったヤツを出荷しても、病気がぶり返した時にクレームをつけられるんだよ。信用を失ったら、二度と取り扱ってくれねーからな」
だから、繁殖をたくさんさせる。ダメなヤツは、廃棄処分にすればいいいだけのことだ。それにしても、どうして俺の目は見えないんだ?
「おい。俺の目に何かしたのかよ」
橋爪は、なぜか黙ったままだった。息遣いはするから側にいるはずだ。
「てめぇ、いい加減にしろよ。こんなことしていいと思ってんのか。訴えるぞ」
それでも、橋爪は言い返してこない。何なんだ、こいつは。俺はイライラが頂点になろうとしていた。怒りをぶつけたいのだが、何しろ相手が見えないのでぶつけようがない。
「おい」
ようやく橋爪の声が聞こえてきた。
「何だよ」
早く喋れよ。俺は、せっかちなんだよ。
「お前、下痢してんぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます