第4話

「桜、女子だけでも撮ろうよ!」


「桜、ほら、おいで!」



誘われるままに、向けられるカメラやスマホに笑顔を向けて……。



あ!



思わず、口を開きかけて、慌てて口元を手で隠した。


ちょうど見上げる先にあった、校舎の2階。


そこはちょうど図書室にあたる場所。


ベランダから校庭を眺めている、彼の姿を見つけた。



「ごめん!忘れ物した。ちょっと、取って来るね」



一緒に帰ると約束していた景子に、そう断って、校舎の中へと猛ダッシュ。



窓辺に見えた彼……友浦先生は2年生の時、図書委員をした時にお世話になった先生だ。


先生と生徒。


その距離は果てしなく遠くて。


先生の目から見たら、きっと私はたくさんいる生徒達の中の、1人でしかない。

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