第2話

「桜、皆で写真撮ろうって話してるんだけどー?」



行こうよ!と廊下側の扉から顔を覗かせたのは、クラスで一番仲の良かった景子。


彼女はこの中学に入った時に、初めて隣の席になって喋った人。


それ以来親しく付き合ってきた。進学する高校は別になってしまったけれど、多分彼女とは長く付き合っていけると思っている。



「行くよ」



ちょっと後ろ髪を引かれるような気持ちになりながらも、カバンを掴んで席を離れた。


この席よりも、この景色よりも、もっとこの目に、記憶に残しておきたい人がいる。


彼も、きっとみんなと別れを惜しんでいるのだろうか。


今日は式の最中に垣間見ただけ。


ここから校門を眺めているよりも、探したほうが早いかも。

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