第6話

里大の言葉で泣いたのは、小学校の時以来だ。


 あの時も今みたいに、里大の口から出たのは私から離れたいと望む言葉だった。


 やっぱり、ダメなの?


 里大の隣にずっといるのは、ダメなのかな?


 ねぇ、もし私が今本当の気持ちを言ったら里大はどうする?


 迷惑だって思う?


 呆れた顔をする?


 嘘つきな私を軽蔑するかな?


 でも、私も限界。


 ずっとずっと胸の奥に閉じ込めてきたこの想いが、今は口から溢れ出しそうだよ。


 いっそ、本心を言って、そうしてキッパリと振られた方が楽になれるんじゃないのかな?


 「……青羽?」


 ついさっきまで見下ろしていたグラウンドに背を向けて、私は里大を見下ろした。


 座ったまま私を見上げる里大は、訝しげに眉を寄せている。


 彼は知らない。


 数秒後に、ただの隣人で幼馴染で姉弟みたいな関係の私から想いを告げられることを。


 好きになったのは里大だけ。


 だから、今まで告白したことも、失恋したことも、まして思いが通じたこともない。


 最初に味わうのが失恋の痛みだなんて、ちょっと辛いけど。


 でも、今みたいに苦しいのは嫌なの。


 「里大、あのね!私がずっと好きだったのはっ……」

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