第2話

「聞こえてるから、喚くなよ」



 容赦のない冷たい視線で私を見るのは、同じクラスで隣の席で、家まで隣の、所謂幼馴染の、篠宮しのみや里大りた


 中学入学の頃は同級生の中で1番チビだったくせに、気付けば遥か見上げる場所にその端正な顔はあった。


 愛想は皆無なくせに、背の高さと頭の良さと意外にも足が速いところが女子にモテる。


 ちょっとムカつく相手だ。


 ムカつく……けど、気付けば私は里大の隣をキープしている。


 他の女子には恨まれないように、他の男子に恋してるフリをして、その惚気を幼馴染に聴かせてあるという体を装って。


 「だからね?坂里先輩ってば、私が運んでたハードルを横からヒョイって軽々と持ち上げてさ、『女の子がこんな重たいもの持たなくていいよ』って〜!すごくない?スマートだし、優しいし、いいよねぇ……」


 「……お前、それより重たい米袋、この前肩に担いだ運んでただろ」


 「な!あれ、見てたの?あ、あれはおばあちゃんが腰が悪いのに無理しようとするから!」


 だから、幼馴染ってやだよ。


 隠したい日常を遠慮なく暴く。


 だから里大とは、いつまでたっても幼馴染以外の関係をつくれない。

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