その瞳が語るもの
真弥
その瞳が語るもの
第1話
✳︎
「だから、聞いてる?」
視界に飛び込んできたのは、幼馴染の不貞腐れた表情だった。
二重のぱっちりした目と、小さな鼻、自己主張の強そうなプクッとした唇を突き出す彼女のこんな表情は、物心ついた頃からよく見せられてきた。
青羽がこんな顔して俺に話を聞いて欲しいとせがんでくるのは、いつだって恋愛真っ只中の時。
年上の、背が高くて、運動神経が良くて、女性の扱いがスマートで、笑顔が素敵……な相手をロックオンしたら最後、青羽はどっぷりその恋に浸かる。
そして逐一俺に話を聞かせにくる。
今だって放課後、他に誰もいない教室の窓から見えるグラウンドを見下ろして上機嫌だ。
生まれた時から隣同士で、親同士も仲良くて、まるで姉弟みたいな距離で過ごしてきた。
小学校に入るまでは、青羽は本当に俺の姉なんだと思っていた。
赤の他人だったと知った時の俺の歓喜は、きっと誰も知らない。
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