第7話

「私、鳥羽先生キライ」



「朱乃に好かれなくてもいいの。私だけが彼を好き……それでいいの」



キッパリと言い切る彼女は強いのか、そうでないのか……私にはわからない。


でも、彼女は幸せではないと私は思うの。


好きな人には自分だけを見て欲しいと、弥生は思わないのかな?


私は思うよ?だから、城崎さんの婚約者が羨ましかった。一途に思われてこそ女は幸せを感じる事が出来るんじゃないのかな?



「私の事はいいの。それに、城崎氏フリーになったのよ?誰に遠慮がいるのよ」



「城崎さんにその気がなければ、誰と付き合う事もないでしょ……」



「全く、やる気ないなぁ」



ブツブツと愚痴る弥生の背中を押して、ロッカールームを出た。


朝礼開始迄あと5分。のんびりしている暇はない。

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