第6話

襟元からだらしなく延びている臙脂と紺のネクタイが、同学年であることを示していた。



金色に光る長めの髪に左耳に刺さる青いピアス。



踵を踏み潰した上靴は、片方が脱げてしまっていた。



だらしない……。



思わず心の中で呟いていた。



目の前にいる存在自体が、この空間に異質だった。



「……っくしッ」



突然くしゃみをされて、心臓が飛び上がるくらい驚いてしまった。



でも、そのくしゃみ迄犬みたいで、思わず笑いが込み上げてきた。



「う……ぁ、寒みぃ……」



自らの体を抱きしめ、ブルブルッと震えつつ起き上がった相手を見てハッとした。



「……同じクラスの……」



思わず口に出したものの、名前が出てこず口許を押さえてごまかす。



「あ~?」



金髪だと思っていたその髪は、実は明るめの茶色だったと気付いた。



夕日のせいだったんだ……。

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