第5話

あれは、図書委員になって2週間位経った日の放課後だった。






「あ、もうこんな時間なんだ」


図書室のカウンターで本に夢中になっていた私は、下校を促す放送で我に返り壁時計を見上げた。



本を閉じ、図書室内を見回す。


その視界の中に、彼はいた。



窓際で机に突っ伏す彼は、微かな寝息をたてていた。



他に誰もいなかったせいもあって、彼の存在に気付いた瞬間からその寝息がやけに大きく聞こえた。



寝てる……。



窓際は、昼間は日の光が集まり熱を帯びて暖かい。



つい、寝入ってしまったのだろう。



でも、既に日は沈みかけ室内の温度も下がりつつある。



4月といえど、肌に触れる気温はこれから下がるばかりだ。



「……風邪引きますよ」



その人物に近付き、肩を軽く叩いた。

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