戸惑いは図書室での出来事

甲斐 忍というひと

第4話

4月――――



委員決めをするホームルームで、私は図書委員を選んだ。



本が好きだったから。



本を読むことも、図書室の独特な匂いや、その静寂な空間も。


この高校の図書室には、絵本に始まり、各種専門分野の資料も多い。


私が好きなのは、専ら推理小説や物語集に、伝記なんだけど。


この書庫には、私が読みたい本が盛りだくさんで、一日中ここで過ごしていたい位だった。



だから気兼ねなく過ごせる放課後は、友達と遊びにいく割合よりも断然図書室通いの方が多かった。



私にとってこの空間は、この高校生活を送る上で唯一の癒しの場でもあったんだ。



その癒しの空間に、いつからか異質な存在が私の視界に入るようになった。

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