第9話

「空井(ソライ)~っと、なんだここ!?」



体育館から出てきた同じユニフォームの男子は、足下の水溜まりに驚き、跳ねるように水を飛び越えて近付いてきた。



「あ、」



「水瀬じゃん、なにやってんの?」



近付いてきて男子が私に気づいて声をかけてきた。



同じクラスの庄司 保(ショウジ タモツ)くんだった。



彼もバスケ部だったんだ。



「……園芸部の水撒き担当」



目の前のずぶ濡れの男子を気にしつつ、庄司くんの質問に答えた。



「そうかぁ、あちいのに大変だろ?」



間延びした声音は、多分今の私達の間の、重い空気には不似合いだと思う。



「え、いや……そうでもないよ、」



それよりも今大変な事になっているんです。

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