第8話

「…………から、」



「え、?」



「もういいから」



私が離れるより先に、目の前の男子が私の手を払い、一歩後ずさった。



肩にかけてあったタオルの水滴を払い、頭からゴシゴシと拭いていく。



「あの、ごめんなさい」



無言で拭き続ける彼に、謝罪の言葉をかける。



「なんだったわけ!?」



頭を拭きながら、不機嫌な声音が響く。



……怒ってる。



当たり前だと分かるけれど、少し怖くて数歩彼から離れた。



「すみません、花壇に水撒きしてて……」



「……で!?」



「ホースの途中を踏まれちゃって、その水圧でホースが蛇口から抜けたんだと……」



冷静な分析の結果なんだけど、不慮の事故だと理解していただけたでしょうか?

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