第7話
「…………、大丈夫ですか?」
多分、きっと大丈夫じゃないってことは分かっていた。
蛇口を掴んだまま、目の前の光景に息をのんだ。
バスケのユニフォーム姿の、僅かに赤みがかった栗色の髪からボタボタと水を滴らせて、呆然とした様子で立ち尽くしている男子。
髪だけじゃなく、ユニフォームや肩にかけてあったタオルからも水滴が落ちていくのを見れば、半端な量の水じゃなかったことが分かる。
本当に、本当に運が悪かったとしか言えないんだけど。
慌ててその男子に近寄り、手に持っていた自分のタオルで彼の顔を拭いた。
それも、かなり強引に。
だって、一生懸命手を伸ばして拭こうと思うけれど、なんせ相手は男子。
しかもかなりの身長差。
支えなしで彼の顔を拭くのは至難の技だったのだ。
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