第6話

「あれ、?」



不意に水の出が悪くなり、ついには止まってしまった。



訝しく思って顔を手洗い場の方向にむけると、足元に伸びるホースの上に陸上部の人達が運んでいたハードルが幾つか乗ってしまっていた。



運ぶ途中で、休憩とばかりに置かれたのだろう。



「あー、ホースを踏んでますよ……えっ、!?」



声をかけた次の瞬間。



私と、ハードルを置いた陸上部員達よりさらに先、



手洗い場で大きな声が上がった。



「……えっ?……うわっ!」



声をあげた当の本人も何が起こったのか分かっていなかっただろう。



私はホースの先端を置いて、手洗い場に走った。



「すみません~!」



声をあげつつ、全速力で走って蛇口を思い切り捻る。

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